ファイト・クラブ (映画の中のアドラー心理学)

金曜日は、「映画の中のアドラー心理学」。
今回は、エドワード・ノートンブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム=カーターが出演する
映画「ファイト・クラブ」。

ファイト・クラブ [Blu-ray]/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
¥2,057
Amazon.co.jp





こんな映画

空虚な生活を送るヤング・エグゼクティブのジャックは、謎の男テイラーに導かれるまま、謎の秘密組織「ファイト・クラブ」のメンバーになる。そこは鍛え抜かれた男達が己の拳のみを武器に闘いを繰り広げる、壮絶で危険な空間だった。血飛沫が飛び散る拳闘シーンの迫力もさる事ながら、圧倒的な印象を残すのは「セブン」デヴィッド・フィンチャー監督による暴力的ともいえる映像の洪水。世紀末のカオスをまさに”体感“できる一作だ。

(allcinemaより転載)



映画 ファイト・クラブ - allcinema
空虚な生活を送るヤング・エグゼクティブのジャックは、謎の男テイラーに導かれるまま、謎の秘密組織「ファイト・クラブ」のメンバーになる。そこは鍛え抜かれた男達が己の拳のみを武器に闘いを繰り広げる、壮絶で危 ...


暴力映画か?確かに暴力シーンは多いです。でも、それだけではありません。
徹底的に自分と向き合うことを求める作品です。
昨日紹介した本の著者、樺沢先生がこんな解説をしています。
えー!そうなの!?って人もいると思いますので、ご一読ください。


完全解読




で、昨日紹介した本ですが、この本の中でも「ファイト・クラブ」についての記述があります。著者の樺沢先生いわく、「究極の父性映画」なんだとか。そういわれてみると、納得できるシーンがとても多いです。


中でも、ラストシーンについての解説がとても面白いです。この画像から、「父性と母性のバランス」を視覚化したシーンだなんて!自分と向き合うことを求める作品って書きましたよね?主人公は最終的に人格の統合を行います。穏やかで満足げな表情から、主人公が理想としていた人格を手に入れることができたのでしょう。男性だから、父性しかないか?というと、男性の中にも母性はあります。父性と母性のバランスがとれた状態が、安定した状態と言えます。父性は「つきはなす」、母性は「包み込む」。そんなイメージです。愛に溢れた精神状態は父性と母性のバランスがよい状態といえるのではないでしょうか?

父親はどこへ消えたか -映画で語る現代心理分析- (一冊の本が繋ぐご縁)|人活さんのあたまのなか -Masked and Anonymous-




ファイト・クラブ」の中のアドラー心理学

今回は、映画のセリフと共に、アドラーの言葉を見ていくことにします。

「今すぐ死ぬとしたら、今までの人生をどう思うんだ?」

「いつか必ず死ぬって事を心に刻み込め!すべてを失った者が本当の自由を知る」

こんなセリフがありました。

アドラーはこんな言葉を遺しています。

「仕事で敗北しませんでした。働かなかったからです」、「人間関係で失敗しませんでした。人の輪に入らなかったからです」。-彼の人生は完全で、そして最悪だった。

主人公の日常はこんな感じでした。一見なに不自由ない生活の様に見えますが、満たされない毎日を過ごしていた主人公。家、財産を全てなくし、今までの環境を大きく変えることで、自分との対話が始まります。


痛みを消すな!受け入れるんだ!苦痛なしじゃ、痛みなしじゃ何も得られない!

こんなセリフがありました。

そして、アドラーはこんなことを言っています。

できない自分を責めている限り、永遠に幸せにはなれないだろう。今の自分を認める勇気を持つ者だけが、本当に強い人間になれるのだ。

今の自分を認めること。これがスタートです。ダメな自分を認め、受け容れることは苦痛を伴います。それができる人こそ、本当に強い人間です。徹底的に自分と向き合い、他者と向き合うことで、今の自分を受け容れることができます。この作品の中の暴力の矛先は、実は全て自分に向けての自傷行為です。自分と向き合うこと。ガチのバトルです。

主な登場人物は3人ですが、実は主人公の以外の2人は、主人公の別人格。一人は理想、もう一人は現実の嫌な自分。ラストシーンは、全てが統合されます。主人公の理想は強くたくましく、知恵や人望のある人物。まさに父性そのもの。本当の強さは、弱さを包み込む優しさも兼ね備えています。ラストシーンはその象徴。この作品、主人公のあたまの中での出来事なのかもしれません。

他にもたくさんのアドラーの言葉がこの作品を観ていると当てはまります。
映画をご覧になった方は、探してみてください。
https://twitter.com/adler187027

心の平和は自分の中から湧き出るものです。心地よい言葉を読んで癒しと感じるのは幻想です。一瞬で現実に連れ戻されるはずです。ただの逃避です。徹底的に自分と向き合った後にしか心の平穏を得ることはできません。時に、血みどろになることもあります。この作品の主人公のように。大いに、悩み、もがき、苦しんでください。そして、生き残ってください。あなたに必要なのは、癒しの言葉ではありません。依存心を断ち切る勇気を持ってください。そして、徹底的に自分と向き合い、戦って下さい。あなたが自分と向き合うなら、私もあなたと向き合います。そして、戦友として、共に生き残りましょう。