ガタカ (映画の中のアドラー心理学)

金曜日は、「映画の中のアドラー心理学」。
今回は、ガタカという作品より。
とても、とても大好きな作品です。

ガタカ [Blu-ray]/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
¥2,500
Amazon.co.jp


こんな作品

キャッチ・コピーすら泣かせる、SFドラマの最高傑作。
遺伝子工学が発展した近未来。社会は遺伝子の優劣においてのみ人間の才能を判断していた。そのため、新生児は受精段階において遺伝子操作を行われ、遺伝子的に優秀な人材のみに選別されていた。そんな中、遺伝子操作をされることなく生まれてきたヴィンセントは、出生時に約30年の寿命と診断され、生まれた時から将来の見込みがない子供として育つ。やがて、ヴィンセントに遺伝子操作を受けた優秀な弟ができる。しかし、兄でありながら遺伝子の優れた弟には何をしてもかなわず、希望の無い生活を余儀なくされた。見せ付けられる差。やがて、ヴィンセントは宇宙飛行士を夢見るようになるが、その夢も劣性の遺伝子のため尽く断ち切られていった。しかし、そんな環境においても夢を追い続けたヴィンセントは、ある日、ずっと勝てなかった弟との度胸比べに勝ち、家を捨てて一人旅立つ。職を転々しながら下級クラスの生活を送った末、宇宙飛行士の施設“ガタカ”の清掃業についたヴィンセントは、ある日、闇業者の手配により、事故のため身障者となった元エリートに偽装し、“ガタカ”にエリート社員として潜り込む。しかし、そんなある日、ヴィンセントの正体を疑っていた上司が殺害され……。

映画 ガタカ - allcinema
キャッチ・コピーすら泣かせる、SFドラマの最高傑作。遺伝子工学が発展した近未来。社会は遺伝子の優劣においてのみ人間の才能を判断していた。そのため、新生児は受精段階において遺伝子操作を行われ、遺伝子的に ...

アドラーのことば

たくさんのことばとシーンがリンクします。「映画の中のアドラー心理学」を書き始めて思うのですが、好きな映画の中の多くでアドラーのことばを感じます。アドラーの存在すら知らなかった頃から好きだった作品。心のどこかに、アドラーの考え方が宿っていたのでしょうか?なーんて(笑)。
では、まいります


この作品の設定は、人生が遺伝子の優劣で決まる近未来の世界。両親の価値観は当初は別でしたが、産まれてきた我が子の遺伝子情報を見て考えが変わっていきます。主人公の選択は全面反抗でした。ある手段を用いて。人から嫌われる方法であったとしても、自らの人生を生きる決心をします。アドラーはいいます。行動に問題があるとしても、その背後にある動機や目的は必ずや「善」である。主人公の行動は反社会的な行動ですが、自分の夢を叶えるための「善」の行動であり、戦いです。

アドラーはこんなことも言っています。それが「あなたの問題」ならば、たとえ親に反対されても従う必要はない。自分の課題に足を踏み込ませてはいけないのだ。劇中、両親は主人公がただ生きることを願います。遺伝的に劣っているという情報で、過保護とも言えるほど大切にします。遺伝子操作により、遺伝的に優れた次男が生まれるまでは...。そんな環境の中で、主人公の決意は次第に強くなっていきます。

アドラーのことばに、主人公の悲しみは表れています。子供にとって家族は「世界そのもの」であり、親から愛されなければ生きていけない。そのための命がけの戦略がそのまま性格の形成につながるのだ。ただ、ネガティブな戦略ではありませんでした。あくまでも主体的で積極的な戦略です。家を出て環境を変えることで、主人公は自立の道を歩みます。
 

次に兄弟の関係について見てみます。遺伝的には劣る兄と遺伝的に優れた弟。 アドラーは言います。あなたが劣っているから劣等感があるのではない。どんなに優秀に見える人にも劣等感は存在する。目標がある限り、劣等感があるのは当然なのだ。ある出来事をきっかけに、兄は劣等感から解放され、逆に弟は劣等感を抱き続けることになります。遺伝的に劣っているという「事実」は消すことはできませんが、生き方を支配されることはありません。兄は困難を乗り越え、宇宙へ旅立ちます。一方の弟は...。どう生きていくのでしょう?人は過去に縛られているわけではない。あなたの描く未来があなたを規定しているのだ。過去の原因は「解説」にはなっても「解決」にはならないだろう。アドラーのこのことばを兄弟がどのように捉えるかでしょう。



この作品を初めて観たとき、劣等感の塊のような状態でした。自分を憎み、世の中を憎んでました。その反面、「やればできる」なんてやらない言い訳で自分をごまかして生きていました。勝手に他人と比較して劣っていると思い込んでいた(思い込むことで言い訳をしていた)んですよね。ほんとにアホでした(笑)。遺伝もトラウマもあなたを支配してはいない。どんな過去であれ、未来は「今ここにいるあなた」が作るのだ。アドラーのこのことば通りです。もし、この投稿を読んでいるあなたが支配されていると感じているなら、それは思い込みです。あなたの行動や考え方次第で、あなたの人生は変わります。

最後にもうひとつアドラーのことばを。


全ては勇気の問題です。一歩を踏み出せるかどうか。今、あなたが問題を抱えているとしたら、解決法も可能性も無数にあります。先日投稿したように、「わからないことは聞く」も、勇気のひとつ。自分の心に聞いてみるのもひとつの方法ですし、身近な誰かとか、友人知人に聞いてみるのもひとつ。何でもいいので、一歩踏み出してみることです。

長くなってしまいました(笑)
あと2人、大切な登場人物のことに触れてません。また書きます!
では!!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。