父親はどこへ消えたか -映画で語る現代心理分析-  (一冊の本が繋ぐご縁)

木曜日は、「一冊の本が繋ぐご縁」。
今回はこの本、「父親はどこへ消えたか -映画で語る現代心理分析- 」です。

父親はどこへ消えたか -映画で語る現代心理分析- (シエスタ)/樺沢紫苑
¥1,620
Amazon.co.jp


こんな本

現代の父親像、リーダーシップを考える1冊。 ワンピース、ヱヴァンゲリヲンスター・ウォーズアメイジング・パイダーマン、ガンダムファミリー・ツリー……。100を超える映画に隠された意味を、フェイスブック15万人ツイッター13万人のファンを持つ注目の精神科医が大胆に分析! 家庭・社会における父親の存在の変遷は、各時代の映画の中に恐ろしいほど反映している。驚くべき実態がここに!
(Amazonより引用)

あなたのお父さんはどんなお父さんですか?

もしかすると、過去形の方もいらっしゃるかもしれませんね。私の父も、2年前に他界しました。でも、私にとっては過去形ではなく現在進行形の問いなんです。たぶんこれからも...。

私の家はごく平凡なサラリーマン家庭でした。ビールを飲みながら、テレビの巨人戦を観て野次を飛ばしたり喜んだり、そんな父でした。叱られた記憶はありません。子どもの頃は休日になると父と弟と、釣りに行ったり、虫捕りに行ったり。

普通でしょ?とても。でも、父が苦手でした。中学生の頃からは会話をした記憶が全くありません。社会に出てからようやく話をするようになりました。「仕事」という共通の話題が見つかったからかもしれません。ただ、返ってくる答えはごく一般的なもの。今思うと、答えはそれしかなかったのですが、当時は大いに不満でした。

「わかってほしい」。

そんな欲求を満足させてくれる答えではなかったからです。私も甘かったですね(笑)

月日は流れ、ある日父にガンが見つかりました。前立腺から骨への転移も見つかりました。数年間はそれほど支障のない毎日を過ごしていましたが、亡くなる2~3年前からは、痛みも出てきた様で、歩くのも辛そうでした。

いつも一緒の愛犬との散歩も次第に困難になり、一昨年8月、病院で還らぬ人になりました。おかしなもので、亡くなってから頻繁に父との対話をします。生前にもっと話をしておけばよかったと思うこともあります。自分に都合のいい答えなら出せるのですが、心の声がその答えを受け容れてくれません。なので、時間をかけて向き合うことになります。

そう。向き合うことから逃げていたんです。父とも自分とも。
父はどうだったんだろう?
内に溜めるタイプだったように思います。病と共に生きながら、あまりそのことは口にしませんでした。いや、私が知らなかっただけかも?とても穏やかに日々を生きているように感じていました。そうであってほしいと思っていただけかも?きちんと向き合っていればよかった。この後悔が今の私には大きな力になっています。

父との一番の想い出は「スターウォーズ

試写会のチケットが手に入れた父に誘われ、「スターウォーズEP4」を観たのが、子どもの頃の一番の想い出です。1978年5月に日本公開なので、私は当時8歳です。日本のSF映画、当時はゴジラとかウルトラマンとかとは比べ物にならないリアルさにとても興奮したのを覚えています。その後、EP5は弟も一緒に。EP6はまた試写会のチケットを手に入れた父に誘われ、一人で夕方街へ出かけ、父と待ち合わせをして一緒に観ました。初めて観たのが8歳。EP6の公開は1983年なので、私は14歳。

皮肉なもので、この本「父親はどこへ消えたのか」にも「スターウォーズ」が採りあげられています。「父親殺し」という映画でよく採りあげられるテーマを「スターウォーズ」を使って解説しています。ちなみに、「父親殺し」とは、文字通りではなく、精神的に父親の存在を越えることを指します。

越えたかどうかは分かりません。対等にはなったかな?父が苦手でしたと書きましたが、年上の男性は苦手でした。先生、上司といった存在です。いや、たぶん全ての年上の男性に苦手意識を持っていました。向き合いたいけど向き合えない、向き合う働きかけをしてもらえない。そんな積年の思考がそうさせていたように思います。今思えば、勇気の問題です。飛び込んでしまえば、おそらくなんてことはなかったでしょう。相手にどう思われるか?そればかり気にしていたように思います。

この本は読んでください

こんなことを書いたら叱られるかも?ですがあえて。樺沢先生の本のなかでたぶん一番売れていない本です(笑)。SNSのノウハウ本に比べると間違いなく売れていないと思います。でも、一番読んでほしい本です。

父親として、職場のリーダーとして、そして母親と父親一人二役をしなきゃいけないシングルマザーに、ぜひぜひぜひ読んでほしい本です。映画が好きな方はもちろん、あまり観ない方も読んだら納得の内容です(できれば、読んでから作品観てね)。全体に父親の在り方、父親との接し方のヒントがたくさんありますが、特に第6章「父性回復の処方箋」はじっくり読んでみてください。

ちなみに、「死んだ父と和解する方法」という記述があります。私の実体験ともドンピシャ。特殊な能力なんて必要ありません。死者との対話、理解、和解は可能です。

父性の欠如は社会的に大きな問題になっています。父性とは厳しさだけではありません。単に厳しいだけなら拷問です。そこには愛が必要です。友達のような親子関係は決して悪いものではありません。ただ、なんでも許す馴れ合いであってはいけません。友情にも愛と厳しさは必要でしょ?

この本のなかで、ブラット・ピット主演の映画「ファイトクラブ」の記述がとても面白かったので、明日のブログで採りあげることにします。アドラー心理学とどう繋げるかは、これから考えます(笑)