ビューティフル・マインド (映画の中のアドラー心理学)

金曜日は、「映画の中のアドラー心理学」。
今回は、ラッセル・クロウ主演の映画「ビューティフル・マインド」。

こんな映画

 集団における個人の意志決定メカニズムを定式化した“ゲーム理論”を構築し、後の経済学理論に大きな影響を与えノーベル経済学賞を受賞した実在の天才数学者の数奇な人生を「グラディエーター」のラッセル・クロウ主演で映画化した人間ドラマ。共演はエド・ハリスジェニファー・コネリー。監督は「アポロ13」のロン・ハワード。第59回ゴールデン・グローブ賞では作品賞、主演男優賞はじめ4部門を獲得。 

1947年9月、プリンストン大学院の数学科に入学を果たしたジョン・ナッシュ。彼の頭にあるのは「この世のすべてを支配する真理を見つけ出したい」という欲求のみ。ひとり研究に没頭するナッシュは次第にクラスメートからも好奇の目で見られるようになる。しかし、ナッシュはついに画期的な“ゲーム理論”を発見する。やがて希望するMITのウィーラー研究所に採用され、愛する人と結婚もしたナッシュ。しかし、米ソ冷戦下、彼の類い希な頭脳が暗号解読という極秘任務に利用され、彼の精神は次第に大きなプレッシャーに追いつめられていく……。

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映画 ビューティフル・マインド - allcinema
 集団における個人の意志決定メカニズムを定式化した“ゲーム理論”を構築し、後の経済学理論に大きな影響を与えノーベル経済学賞を受賞した実在の天才数学者の数奇な人生を「グラディエーター」のラッセル・クロウ ...


アドラーのことば

人の心理は物理学とは違う。問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべきなのだ。


↓以下、ブログからの引用です。リンク先の最初の動画をご覧下さい。

この映画で心に強く残ったシーンがある。
精神分裂症を患ったJohnは、絶えず現れる幻覚に悩まされる。その極み、Johnは愛する妻をも信じることができなくなる。現実と幻覚が入り乱れ、これ以上彼女を傷つけたくないという思いから。その告白を受けた後に、Aleciaのかけた言葉である。

"You wanna know what's real?"
"This, this, this, this is real."
"Maybe the part that knows the waking from the dream, maybe it is not in here."
"Maybe it's in here." 
"I need to believe that something extraordinary is possible." 

夢から覚めることを知っているのは、頭ではなく、胸、心であるのだ、と。
映画のタイトルにも繋がるこのシーンは、映画のラストのシーンと重なり僕の胸に深く刻み込まれる。ノーベル賞を受賞したJohnのスピーチである。

All Over Coffee: 映画"A Beautiful Mind"から広がった思想あれこれ

↑ここまで


主人公のジョン・ナッシュ統合失調症と診断されます。幻覚の原因は統合失調症だからです。これでは、問題は解決しません。幻覚と向き合う勇気、幻覚と現実を区別する方法、そして彼の数学者としての可能性を信じること。

愛する人との会話の中で、彼は勇気を得、幻覚と対峙し、数学者として歩み続ける決心をします。

アドラーのことばをもうひとつ。

「信用」するのではなく「信頼」するのだ。「信頼」とは裏付けも担保もなく相手を信じること。裏切られる可能性があっても相手を信じるのだ。

自分をコントロールできなくなった主人公。それを見守り続ける妻。約束をしても、守られないかもしれない。子供の世話を頼んでも、逆に命の危険にさらすことになるかもしれない。そんな中でのこのシーン。相手がどのような状態でも信じ続けること。これもまた勇気が必要です。腹をくくる決心が必要です。妻の勇気を感じ、主人公もまた勇気づけられます。


現実か?それとも虚構か?

この作品は、実話をもとにしたフィクションです。事実は...ということがとても多いらしい。本当に大切なものは何か、あなたが見極めなさい。そんなメッセージのように感じます。

もし君にとって、一番大事なもの、大切なものが、消えたのでも死んだのでも無く、最初から無かったとしたら、どんな苦しみだと思う?

こんな台詞もありましたが、とにかく心に刺さる台詞の多い作品です。字幕を追いながら、名演をご覧下さい。アドラーは言います。すべての人の悩みは対人関係によるもの。でも、人を救うのもまた人しかありません。愛、勇気、信頼。きれいごとだという人もいるでしょう。でも、これが対人関係の鍵です。求めるより、与えること。まずは、あなたから始めることです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。