ガタカ 2回目 (映画の中のアドラー心理学)

金曜日は、「映画の中のアドラー心理学」。

今回は、映画「ガタカ」の2回目。
魅力的な2人の登場人物にスポットを当てます。


1回目の投稿はこちら


ガタカ (映画の中のアドラー心理学)|人活さんのあたまのなか -Masked and Anonymous-





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こんな作品

キャッチ・コピーすら泣かせる、SFドラマの最高傑作。
遺伝子工学が発展した近未来。社会は遺伝子の優劣においてのみ人間の才能を判断していた。そのため、新生児は受精段階において遺伝子操作を行われ、遺伝子的に優秀な人材のみに選別されていた。そんな中、遺伝子操作をされることなく生まれてきたヴィンセントは、出生時に約30年の寿命と診断され、生まれた時から将来の見込みがない子供として育つ。やがて、ヴィンセントに遺伝子操作を受けた優秀な弟ができる。しかし、兄でありながら遺伝子の優れた弟には何をしてもかなわず、希望の無い生活を余儀なくされた。見せ付けられる差。やがて、ヴィンセントは宇宙飛行士を夢見るようになるが、その夢も劣性の遺伝子のため尽く断ち切られていった。しかし、そんな環境においても夢を追い続けたヴィンセントは、ある日、ずっと勝てなかった弟との度胸比べに勝ち、家を捨てて一人旅立つ。職を転々しながら下級クラスの生活を送った末、宇宙飛行士の施設“ガタカ”の清掃業についたヴィンセントは、ある日、闇業者の手配により、事故のため身障者となった元エリートに偽装し、“ガタカ”にエリート社員として潜り込む。しかし、そんなある日、ヴィンセントの正体を疑っていた上司が殺害され……。



映画 ガタカ - allcinema
キャッチ・コピーすら泣かせる、SFドラマの最高傑作。遺伝子工学が発展した近未来。社会は遺伝子の優劣においてのみ人間の才能を判断していた。そのため、新生児は受精段階において遺伝子操作を行われ、遺伝子的に ...


二人の登場人物とアドラーのことば

まずは、かつてエリート水泳選手でしたが、現在は車いすの生活をしているユージーン。抜群に優れた遺伝子を持つ彼。主人公のヴィンセントは彼の遺伝子を利用し、ガタカの社員として宇宙を目指します。


アドラーのことばを引用しながら進めます。



「勇気」とは困難を克服する活力のことだ。勇気のない人が困難に出会うと、人生のダークサイドへと堕ちていってしまうだろう。



有望な水泳選手でしたが、金メダルをとることができなかったユージーン。走る車に自ら飛び込み、車いすの生活になります。



敗北を避けるために、時に人は自ら病気になる。「病気でなければできたのに...」そう言い訳して安全地帯に逃げ込み、ラクをするのだ。

仮病を使って学校や仕事を休んだことありませんか?中には、本当に体調が悪くなった方もいるのではないでしょうか?「事故さえなければ...」おそらくユージーンは、周囲にそう言っていたのでしょう。自己のプライドを守るために。



人は居場所がないと感じると精神を病んだり、アルコールに溺れたりする。他者に貢献することで居場所を確保すればよい。



遺伝子を偽るための2人の共同生活の中で、最初は自分のためだったユージーンですが、主人公ヴィンセントのひたむきに宇宙を目指す姿に、かつての自分に欠けていたものに気づきます。そして、ヴィンセントを心から応援し、励ますことで、共に喜びを得るようになります。



苦しみから抜け出す方法はたった1つ。他の人を喜ばせることだ。「自分に何ができるか」を考え、それを実行すればよい。

ヴィンセントを宇宙へ!。2人の目的が同じになったとき、お互いが自分のできることを考え、相手のために行動を始めます。一生分のサンプルを用意した後、ユージーンの選んだ行動は、「消滅」でした。実はもう一人、主人公を応援する人がいます。映画のクライマックスで彼の目的が明らかになります。映画を観てご確認ください。


そしてもう一人。主人公ヴィンセントに想いを寄せる女性、アイリーン。適正者という設定ですが、心臓に問題を抱えているため、宇宙に行くことはできません。

彼女については、アドラーのこの言葉でしょうか?

「信用」するのではなく「信頼」するのだ。「信頼」とは裏付けも担保もなく相手を信じること。裏切られる可能性があっても相手を信じるのである。



遺伝子の優劣で判断される世界。彼女もまた、当初はヴィンセントの優秀な遺伝子に惹かれます。これは、優秀な遺伝子を担保にした「信用」です。紆余曲折の末、最後は「信頼」することになります。「信頼」とは、全く無条件に相手の全てを受け容れること。これができると、強い絆が生まれます。


 

人生には3つの課題がある。1つ目は「仕事の課題」、2つ目は「交友の課題」、3つ目は「愛の課題」である。そして後の方になるほど解決は難しくなる。


この作品、登場人物それぞれが、「人生の課題」に取り組む姿を描いた作品になっています。過去ではなく、未来のため、夢のためにイマを懸命に生きる。2回に渡り、アドラーのことばをたくさん紹介しましたが、これほどたくさんのことばとシーンがマッチする作品は今のところ他には思い浮かびません。イマを懸命に生きること、イマを楽しむことは、人生の3つの課題と向き合うことです。

今週ずっと紹介してきたイベントの登壇者はいずれも人生の3つの課題と向き合ってきた方ばかり。我われは、生きている間はずっとこの課題と向き合わなければなりません。逃げていては、イマを楽しめませんから。きっとヒントがあります。一緒にいかがですか?

Knock on the DOOR~イマを楽しむライブ~ on Strikingly






とても長くなってしまいました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。