初秋 (一冊の本が繋ぐご縁)

木曜日は、「一冊の本が繋ぐご縁」。

今回は、初秋という本を紹介します。
まだ、本格的な夏になる前ですが(笑)。

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)/早川書房
¥864
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こんな内容

離婚した夫が連れ去った息子を取り戻してほしい。―スペンサーにとっては簡単な仕事だった。が、問題の少年、ポールは彼の心にわだかまりを残した。対立する両親の間で駆け引きの材料に使われ、固く心を閉ざして何事にも関心を示さない少年。スペンサーは決心する。ポールを自立させるためには、一からすべてを学ばせるしかない。スペンサー流のトレーニングが始まる。―人生の生き方を何も知らぬ少年と、彼を見守るスペンサーの交流を描き、ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に謳い上げた傑作。(Amazonより)

アメリカのハードボイルド作家、ロバート・B・パーカーの著書。スペンサーシリーズの中の1冊です。

今回採りあげた理由

単に好きなので(笑)。大学生の頃、好きすぎて、辞書を片手に原書を読んだ、思い出深い本です。日本語版も早くKindleにならないかな。原書のKindle版はありますね。2種類あるようですが、こちらは読み上げ機能対応。
Early Autumn (A Spenser Mystery)/Quercus
¥価格不明
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コーチングのバイブルかも?

当時はコーチングということばも考え方も知りませんでした。スペンサーと少年ポールの関係はコーチとクライアントの関係に似ています。日常から身体を鍛えることを趣味のようにしているスペンサーは、ポールの身体を鍛えることから始めます。

最初は全くダメでしたが、日を追うごとに筋力も持久力も増していくポール。身体を鍛え、家作りや料理を経験し、小さな成功体験を積み重ねていく中で、少年は次第に心を開いていきます。

ありたい姿を全くイメージできなかった少年。最終的には将来の夢まで抱くようになります。この後、別の作品でも少年は登場します。思えば、最初から子供としてではなく、人として接していたように思います。

縦ではなく横の関係

アドラー心理学の重要な概念です。大人と子供、特に親子の関係は縦の関係になりがちです。大切なのは、「勇気づけ」のアプローチです。

(参考)
嫌われる勇気(40/57) 「勇気づけ」というアプローチ

友達のような親子関係。批判する方もいらっしゃいますが、縦の関係よりずっとましです。何でも話せる状況にない親子関係で、いざというときに、どうして相談なんてできるでしょう?ただし、愛と信頼の上に成り立つ、親友のような関係です。縦の関係で人間関係を判断しては絶対に成り立ちません。

多感な時期の少年たちへ

他の作品も好きですが、この作品がダントツに好きです。多感な少年たちに読んでほしい一冊です。でも、こんな親父だったら、なんて考えないように。君たちが、まず変わることです。そうすれば、周りの大人たちは変わらざるを得ません。この本のポールのようにね。

スペンサーシリーズではありませんが

この作品も大好きです。「愛と名誉のために」というタイトルで、早川書房からも発売されています。絶版になったのかな?中古本はあるようですが。グレート・ギャツビーのような、映画「きみに読む物語」のような。そんな作品です。
Love and Glory/Dell
¥価格不明
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一冊の本が繋ぐご縁。
この本を通じて、あなたとのご縁が生まれますように。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。